パノラマデジタルカメラで撮り忘れなし リコーTHETAで現場把握

現場監督の仕事は写真を撮ること
新人監督は今日も黒板とスケールを持って現場を走り回る

パノラマカメラに死角なし

安井建築設計事務所の子会社の安井ファシリティーズが、リコーTHETAを使った現況把握ツールを販売していて、口コミで広がっていると、建設通信新聞(2017年7月3日)に出てました。

リコーTHETAは、すでに遊びに使っている人も多いと思いますが、いわゆる、360度カメラ、または、全天球カメラ、または、パノラマカメラと呼ばれるカメラです。水平画角(写角)は360度、すなわち全方位を一度に撮影することのできるカメラです。

水平方向画角は360度ですが、鉛直方向にも、ほぼ真下から天頂まで撮影できます。

もう死角はありません。

むしろ、常に撮影者が常に写りこんでしまい、逆に不便を感じるほど、全方位を記録してしまいます。

カメラ自体の大きさは、片手で握れるほどのコンパクトさなので、直径10cm、いや、5cmほどの穴に突っ込んで、天井裏とか、床下とか、隠ぺい部の様子をみることができます。

安井ファシリティーズのサービス「パノラマmemo」では、図面やフロアマップと画像を連携させ、さらにメモ書きや関連情報を割り当てることもできるそうです。

ふつうの画角のカメラ、たとえば、35mmフィルムカメラに換算して焦点距離が30mm程度の画角のカメラの画素が、最近は10Mピクセルを超えることを考えると、全天球の情報を12Mピクセルのカメラ2つで収めようとすると、少し画質に不満をもつ人もいるでしょうが、周囲の様子を把握するという意味では、なかなかいいんじゃないでしょうか。

ちょっと幾何学

THETAは、背中合わせに取り付けられた2つの魚眼レンズで撮影するのですが、これを利用するときは、正距円筒図法に変換された1枚の画像になって取り出されます。

この正距円筒図法は、コンピュータで処理するときに、結構変換が楽なんです。

経度がそのまま横方向のピクセル値に対応づけられ、緯度がそのまま縦方向のピクセル値に対応づけられるからです。水平方向の360度を画像の横幅に、鉛直方向の180度を画像の縦幅に、比例させるだけでいいのです。メルカトル図法のように、サイン、コサイン、タンジェントを使った、砂を噛むような味気ない変換をする必要がありません。

つまり、THETA画像から点を選べば、その座標値がほぼそのまま、緯度、経度になります。画像から空間を把握するプログラムを作ってみようという方は、正距円筒図法で行きましょう。

THETAはもともと個人ユース目的

リコーの営業の人に聞いたところ、THETAはそもそも個人が楽しむための、新しい映像体験を提供するものとして売り出したものです。

意外にも、1回のシャッターで、死角のない画像が撮れるので、カメラの姿勢制御がやりにくい狭い空間の撮影ができることや、最近流行りのヘッドマウントディスプレイに表示させて、没入感を得られることなどから、ビジネスユースでの広がりも見せています。

新聞記事によると、専門工事会社やビルメンテナンス会社などが利用しているとのことですが、住宅メーカーなどにもよさそうですね。

建築の仕事や勉強をしている人でも、自分の家の天井裏とか床下とかを覗いたことのない人も多いと思います。マンションなら、浴室の上に顔を突っ込んだことはありますか?THETAを買ってきて、天井裏を覗いてみるのはいかがでしょうか。

ただし、映画「呪怨」を観たあとにはオススメしません。天井裏に、髪の長い恐ろしい女が写っていても、私は責任を負いません。