二級建築士・木造建築士を目指す人に朗報 受験要件の大幅緩和

令和2年の改正建築士法施行 卒業後すぐに一級建築士試験の受験が可能に

大学課程で建築を学んだひとの多くは一級建築士を目指すと思います。

企業によっては、管理職になる条件としているところもあります。

令和2年3月に改正建築士法が改正され、この年の建築士試験からは、試験時の実務経験が不要になりますね。つまり、大学を卒業したら、すぐに一級建築士試験を受験することが可能になります。

実務要件は、登録時、つまり試験に合格し、建築士として登録するまでに満たしていればOKということになりました。一級建築士って結構むずかしいですからね。2年で合格すれば、まあ上出来でしょう。合格がわかるのは年末ですから、2年目に合格すれば、社会人3年目に登録申請することができます。

二級建築士・木造建築士試験の指定科目の単位数が大幅緩和!

建築士試験を受けるためには、学校で必要な科目の単位を取得しておかなければなりません。この点は、従来と変わりません。

大学や高専や高校で建築を勉強するとき、建築士試験の受験のためにバランスよく勉強しておく必要があります。それが指定科目ごとに取っておかなければならない単位数として決められているのです。

しかし、二級建築士・木造建築士については、この「取っておかなければならない単位数」が大幅に緩和されます。

ただし、大学で建築を学んだ人に限ります。(高専や高校などの条件はいままで通りですが、厳しかった大学の条件をこれらに合わせたということです)

さて、その内容です。

大学を卒業して建築士試験を受験する人は、令和2年(2020年)の試験から、つぎの要件を満たす必要があります。

指定科目の分類一級建築士試験の要件二級建築士・木造建築士の要件
1.建築設計製図7単位以上3単位以上
2.建築計画7単位以上2単位以上
3.建築環境工学2単位以上
4.建築設備2単位以上
5.構造力学4単位以上3単位以上
6.建築一般構造3単位以上
7.建築材料2単位以上
8.建築生産2単位以上1単位以上
9.建築法規1単位以上1単位以上
1~9の合計30単位以上10単位以上
10.複合・関連科目適宜適宜

これまでは、二級建築士・木造建築士の要件は、1(建築設計製図)が5単位以上、2~4(建築計画、建築環境工学、建築設備)の合計が7単位以上、5~7(構造力学、建築一般構造、建築材料)の合計が6単位以上、1~9の合計が20単位以上でしたから、ずいぶんと楽になりますね。

自分の大学のどの科目がどの分類に入っているかは、大学の履修案内などを確認してください。科目によっては1~9に入ってなくて、指定科目の分類ごとの単位数にカウントされないものもあります。もちろん「10.複合・関連科目」ですらない科目もありますよ。数学とか物理とかは力学に関係しそうですが、専門科目ではないので、構造力学にカウントしている大学は少ないのではないでしょうか。

でも、普通に大学の授業を受けて、必修科目を履修して単位をとってしまえば、大体これを満たすことになるんじゃないでしょうか。

しかも、この条件緩和は過去の卒業生にも遡って適用されます。平成21年度(2009年度)以降に大学に入学した適用されます

在学中、必修科目だけとって、なんとか卒業してしまい、二級建築士試験の受験要件を満たしていない方、来年は受けることができるかもしれませんよ。

そして、二級建築士をとってしまえば、翌年、一級建築士試験を受験することができますから、一気に一級建築士への道が開けますね。

実務経験の年数はどう影響するのか

実務経験は試験時の要件ではなくなりましたが、登録時の要件となります。

その際、在学時の総取得単位数によって、必要な実務経験年数が異なります。

一級建築士二級・木造建築士
総取得単位数
(1~10の合計)
60単位50単位40単位40単位30単位20単位
登録時に必要な
実務経験年数
2年3年4年0年1年2年

つまり、たくさん単位を取っておけば、登録までに必要な実務経験年数が少なくて済みます。なので、一級建築士を狙う人はとりあえず指定科目から60単位を取っておくことをオススメします。