建築構造力学の試験に出る「応力図を描け」問題のパターンは3つ!これだけ!

建築構造力学の静定構造の設問は数あれど、結局、パターンは3つしかありません。

テストに出る、静定構造の応力計算問題は3つだけ

学校で構造力学を勉強して、曲げモーメント図やら、せん断力図やらを描かされた経験のあるひとは多いと思います。いま、まさに構造力学を勉強している学生もいるでしょう。教科書や問題集にはたくさんの問題が掲載されていますが、テストで出る問題は3つのパターンしかありません。もっと言えば、ふつうの問題は2つだけです。

この2つを覚えておけば、応力計算問題の最初のとっかかりは十分です。

それは「静定構造」の問題の制約から、それしか問題が作れないからなのです。

「静定構造の問題の制約って?」

(1)静定構造は、つり合いだけで決まる

静定構造とは、外力(とモーメント)のつり合いだけで応力が決まる構造タイプです。部材の硬さとか、伸び縮みとか、たわみとかの効果を考えなくていいものです。現実の物質で作った静定構造物はもちろん、伸びたり、縮んだり、たわんだりしますが、それを考えなくても応力が求められるのです。

(2)テストは二次元で出題される

テストは紙に印刷されて出題されます。問題用紙を貫くような外力は出題しようがないので、XY平面しか考える必要はありません。

以上2つの制約から言えることは、つり合い式は次の3つしか作れない、ということ。

  • X方向の力のつり合い式(X方向の力を足し合わせると、その合力は0(ゼロ)になる)
  • Y方向の力のつり合い式(Y方向の力を足し合わせると、その合力は0(ゼロ)になる)
  • XY平面内のモーメントのつり合い式(任意の点でモーメントを足し合わせると、合計は0(ゼロ)になる)

つまり、方程式がちょうど3つしか作れないということです。3つの方程式で未知数を求める問題を作ろうとすると、未知数はちょうど3つに限られます

ね?

「つり合い式が3つ」「未知数が3つ」 これが静定構造の設問の大前提です。

※ もし、未知数が4つ以上となる問題を作ると、3つのつり合い式だけでは解けなくなります(いわゆる不静定構造の問題になってしまい、中級以上の学習が必要になりますし、テスト時間中には解けなくなります)。

※ 逆に、未知数が2つ以下となる問題は、構造が不安定ということなので、「安定」が前提の建築構造の問題にはなりません。

未知数が3つということは、つぎの2つしか問題が作れません。

  • 未知数が、X方向の力、Y方向の力、モーメント
  • 未知数が、X方向の力、Y方向の力、もう一つ、Y(またはX)方向の力

パターン1:固定端(固定支持)の問題 片持ち梁

テストに出る静定構造物の支持形式のひとつが固定端(固定支持)です。最も多いのが片持ち梁です。これは、未知数が、X方向の力、Y方向の力、モーメントの3つで表されるものですね。固定端側に、X方向の力(水平方向の力:H)と、Y方向の力(鉛直方向の力:V)と、モーメント(M)を仮定するタイプの問題です。

あとは、これらの未知数と設問に設定されている外力を使って、方程式を3つ書いて、連立させて解けばいいわけです。

パターン2:ピン支持+ローラー支持の問題 単純梁

テストに出る静定構造物の支持形式の2番目が、ピン支持とローラー支持をひとつずつもったものです。最も基本的なものが単純梁です。これは、未知数が、X方向の力、Y方向の力、もう一つ、Y方向の力の3つで表されるものです。ピン支持側に、X方向・Y方向の力(H1とV1)、ローラー支持側にY方向の力(V2)を仮定するタイプの問題です。

未知数の名前が、片持ち梁とは異なりますし、モーメントが含まれませんが、方程式はやっぱり、X方向のつり合い、Y方向のつり合い、モーメントのつり合いの3つですよ。お間違えの無いよう。

これで基本的な2つのパターンが終わりです。

ローラー支持3つによる構造でも3つの未知数は作れますよね?」

いい指摘です。

そうです。3つのローラー支持を、すべてが同じ方向になることを避けて配置すれば、確かに静定構造になります。でも、そんな問題をテストであえて出す先生はいないでしょう。悪問と言われそうで、出題する側も躊躇しますよ。きっと。

じゃあ、3つ目というのは?

パターン3:ピン支持+ピン支持+ラーメンにひとつのピン接合の問題 3ピン(ヒンジ)ラーメン構造

3つの方程式と3つの未知数というパターンから外れている問題パターンです。

門型ラーメンの柱脚を両方ともピン支持にして、その門型ラーメンの部材の一部にピン接合を持たせると、この形になります。

両方ともピン支持ですから、未知数は4つ(H1、V1、H2、V2)です。ということは、方程式3つでは、未知数を求めることができません。しかし、構造内にピン接合がひとつ入っていますから、そのピンの左右いずれかの部分を取り出して、ピン接合まわりのモーメントの合計が0(ゼロ)になるという方程式を立てることができます。つまり、4つの未知数を4つのつり合い方程式で求める問題ということです。

ここで、ピン接合まわりのモーメントを、構造全体におよぼす外力と未知数で考えてはいけませんよ。それは「任意の点でモーメントの合計が0になる」ことと同じですからね。

まあ、3ピンラーメンは力学の問題としては、一度勉強することになりますが、通常の建物ではあまり見かけません。大空間の屋根を3ピン構造で計画することはあります。たとえば、福島第一原発3号機の建屋カバーは、外見上円筒形ですが、足元の2か所と頂部はピン接合ですから、3ピン構造となっています。これを奥行方向に並べて、円筒形の空間を構成しているわけです。

まとめ

静定構造の応力を求めされる問題のパターンは3つだけ、つまり(1)固定支持の片持ち梁パターン、(2)ピン支持+ローラー支持の単純梁パターン、そして(3)3ピン構造の、3つだけということを説明しました。

問題設定が3つだけですし、いったん未知数を使ってつり合い式を書いてしまえば、あとは数学の問題を頑張って解くだけですから、部材の形や外力の大きさや向きごとに問題の解き方を覚える必要はありません。

どうですか?

少しは気が楽になりましたか?

未知数って反力だけじゃん!応力図はどうするのさ?

反力が求められたら、今度はそれを外力として、任意の切断面に応力(軸力、せん断力、曲げモーメント)を仮定して、同じことをすればいいだけです。

今回は、学校のテストや建築士試験における、設問のパターンが3つに分類できることを説明したわけで、応力を求める計算はコツを身につけると、ほとんど連立方程式を解かなくても答にたどり着くことはできるんですけどね。(たとえば、片持ち梁は、自由端側の部材だけを考えれば、反力を考えなくても、応力図は描けてしまいます。)

たまには、力学の教科書を開いてみるといいですよ。