人工知能(AI)で施工計画・工区割り

人間が1週間かけていた仕事をAIは数分で行ってしまう。
AIをつくる方、せめて、もうちょっと考えるフリをさせてください。

AIで施工計画

2017年6月13日の日刊工業新聞に、こんな記事が掲載されました。

「鹿島、AIで施工計画 建築工事に自動ツール 人間の知見と融合」

ざっと読んだところ、ポイントはこれ。

  • コスト、工期、仕事量などの条件をもとに、AIが複数の施工計画パターンを提示する。
  • 候補の中から、現場管理者が、最適な施工計画を選ぶ。
  • 今夏にも試作版が完成。2018年度中に試作版を現場に導入予定。

2018年、無駄の少ない施工計画を立てる鹿島は、施工業界の覇者となるでしょう。

信じるか信じないかは、あなた次第。

工区割り

記事のなかで軽く触れていたことに、複数の工区割りを提案するというものがあります。工区割りは、工区分割とも言います。

これ、試験に出ます。

うそ、出ません。社会人になってから、重要性に気づきます。

工区割りとは、平面的に大きな現場の工事を並行して進めるために、複数の領域に分割することです。簡単な工区割りは、1つの建物を2つの工区に分け、それぞれを担当するクレーンを設置し、作業員も2班体制で並行して進めるというものです。遅いほうに合わせることになりますが、おおむね半分の時間になりそうですね。J1〜J4は、異なる作業と思ってください。

→ 時間
A工区 J1 J2 J3 J4
B工区 J1 J2 J3 J4

もう少し工夫して、2つの工区には分けるけれども、作業を半周期ずらした工程を考えれば、このような工程になるかもしれません。赤いところは、半歩進んで、上の階で行うものです。

→ 時間
A工区 J1 J2 J3 J4
B工区 J3 J4 J1 J2

こうすると、同じ作業を同時にしていないので、作業員は1班で済むことになります。作業員にとっては無駄な遊びがなく、効率的に作業を行うことが可能です。結果的に、工期は変わらず、コストを抑えることができます。

なんでもかんでも、このようにうまくはいくわけではありませんが、このような計画ができるように、J1~J4に相当するものをうまく計画したり、機械を使って作業時間を平均化したりすることを考えるわけです。

工程計画はクリエイティブ

ごく簡単にしか説明しませんでしたが、工程計画は、工区割り、使用揚重機、作業職種、地組みなどを、ほどよく組み合わせて、無駄の少ないものを生み出す、創作的な活動です。AならばB、BならばC、のような、論理的に導かれるものではありません。

翻って、くだんの記事。

「AIは複数の施工計画パターンを提案する」とのことです。そこから、細かい味付けはやはり人間の現場管理者の頭の使いどころでしょう。

AIがどこまで人間の創作活動領域に踏み込んでくるのか楽しみではありますが、今のところ、工程計画の最後の詰めは人間がやらなきゃならないようです。

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