マイクロソフトのHoloLensは、ひと味違う。
マーカーレスで、リアルタイムに、コンピュータグラフィックスをリアル空間に表示する。しかも、複数の人が同じモデルを囲むことが可能な、ちょっとビックリな新技術。
HoloLens
HoloLens(ホロレンズ)は、マイクロソフトが2017年の春に発売した、新しいARツールです。
ARとは、ご存知のとおり、Augmented Reality、実際の世界の画像に、コンピュータで作った3Dモデルを配置する技術です。ヘッドマウントディスプレイは装着するものの、ほかのメーカーのような、一人ひとりが体験するものではなく、複数の人が(もちろん、HoloLensを装着していることが前提ですが)同じ3Dモデルを見ることができるのです。
簡単に言えば、HoloLensを着けている人の間では、そこに物理的な模型が置いてあるような感覚にとらわれます。
置いてあると言いましたけど、机の上に模型を置くこともできれば、数メートル先の空中に浮かして固定することもできます。
歩いて近づくこともできるし、つまんで動かしたり、拡大したりすることもできます。
自分には見えている3Dモデルが、HoloLensを着けていないひとには見えないので、はたから見ると、見えてはいけないものが見える人です。
発売前に、マイクロソフトの人に話を聞いたときは、「ふむふむそんなことができるんだ」とさらりと受け流していましたが、実際に装着して、宙に釘付けされた恐竜やら建築模型やらを見ると、その安定感は驚くものでした。
マイクロソフト、恐るべし。
まだ、視野が狭い、というか、リアル空間は透けて見えるのですが、映像がきれいに表示される視野角が小さいため、3Dモデルを見るためには、そちらのほうに顔を向ける必要があります。このあたりは、どんどん改善されるでしょう。
将来が楽しみです。
どう使いましょ?
はたから見ると、見えてはいけないものが見える人ですが、そっちの世界に入れば、見えない人のほうが可哀想、なんて状態になります。
私には幽霊が見えないのですが、幽霊が見えるひとたちがテレビ出て、話をするでしょ。
「あ、あの隅にいますよ」
「ほんとうだ、女の子でしょうか」
「そのようですね」
みたいな会話をしますが、HoloLensを着けている人たちどうしは、まさにそんな感じです。
このくらい、HoloLensを着けている人たちと、着けていない人たちとは、見える世界が違います。
で、見えないものが見えるようになった私たちは、どうします?
誰でも考えるのが、模型の代わり。
お客さんのところに、でっかい箱を持っていかなくて済みます。データをHoloLensに入れておけばいいのです。人数分のHoloLensを持っていくほうが大変だってこともありえますが、HoloLensで見えるデータは、つまんだり、引っ張ったりしても壊れませんから、まずはこの模型の代わりから始めましょう。
次に考えるのが、えーと、次に考えるのが、えーと、、、
HoloLensをいち早く、業務に取り入れた小柳建設の紹介記事から社長の言葉を要約しましょう。
建物の立体的な図面を構築し、営業時の完成予想図、工事中の建築状況などを公開する。
それ、上で言った。
建設で使用するデータや文書とひも付けると、従業員はHoloLensを着用することで、図面を参照しながら関連情報を閲覧できるため、紙の資料を探す時間を削減できる。
なるほど、建設会社の従業員のために使おうということですね。いろいろ、ツッコみたいことは多いですが、努力は買いましょう。
遠隔地の従業員と現場の視界を共有し、リアルタイムで指示を送る。建設重機や作業員の配置をシミュレーションできる機能も開発中。
「トラブルは会議室で起きているんじゃない!現場で起きてるんだ!ディスターブしないでください!」と現場が叫ばないといいですね。
で、なんぼ?
ひと握りの夢と50万円くらいをポケットに詰め込んで、お店に行けばいいんじゃないでしょうか。
私はたまたま知人が購入したので、体験させてもらうことができました。
みなさまも、一度、お試しあれ。