建設業とは全く関係ありませんが、たまには知的な遊びでもどうぞ。
地球の質量は、密度×体積
地球の質量Mは、地球の密度ρと地球の体積Vで求めることができます。
M = ρV
地球の体積は簡単に計算できます。地球の半径をRとすると、
V = 4πR3/3
(「身の上に心配ある惨状」と覚えました)
一方、地球表面での、質量mの物体にかかる重力Fを二つの方法で表すことができます。
F = mg
(等加速度運動は高校で習いますね)
F = GMm/R2
(重力の逆二乗則は高校で習いますね)
Mは地球の質量、Rは地球の半径を表すのは、前述のとおりです。
Gはいわゆる重力定数と呼ばれているものです。宇宙を支配する重要な定数の一つです。
すると、同じものを表している2つの値は同じですから、
mg = GMm/R2
となります。
両辺をmで割って
g = GM/R2
これに、上の M=ρVを代入して、
g = GρV/R2
これに、上の V=4πR3/3 を代入して、
g = Gρ4πR3/3R2
ちょいちょいとRを消してみると
g = 4πGρR/3
はい準備は終わり。ついてきていますか?
ここまでは、単なる式の変形だけなので、本質的にはあまり重要ではありません。
分かっている値はどれ?
大事なのは、求めた式の、分かっているもの、求めようとするものです。
g = 4πGρR/3
さて、地球の質量を図ろうとしていた18世紀末、地球の大きさは分かっていました。つまり、Rは既知。およそ、6,400kmです。これは、地球の周長4000万キロメートルを2πで割っても計算できますね。
もうひとつ。等加速度運動の実験からgの値も古くから知られています。gは地球の緯度によって値が違いますが、およそ9.8m/s2です。
ということは、重力定数Gが分かれば、地球の密度ρが計算できますから、地球の質量M=ρVも計算できることになります。
まさに、当時はこのGの値が分かっていませんでした。それは測定がとても難しいからです。
というのも、重力定数を求めるには、2つの物体が引き合う力を測定しなければならないからです。
今あなたの横にいる彼女、あるいは彼と寄り添っていて、どれだけ重力を感じますか?
「ずっと引き寄せられっぱなしですぅ」
はい、力は感じません。
重力は、これほど近くにある物体どうしでも、認識できません。ビルの横を歩いていて、引っ張られることもありません。極めて微小な力なのです。
Gの値は、あまりに小さすぎて測定できないのです。
これに挑戦したのが、科学者キャベンディッシュです。キャベンディッシュの重力定数測定実験は、私の好きな科学実験のひとつです。
鉛の球を近づけて、微小な重力の測定に成功
室内に直径30cmと5cmの鉛の球をぶら下げ、風や振動の影響がでないように、部屋の外から引き合う様子を測定するというものでした。ねじり天秤という実験器具が工夫なんですね。(ここでは言及しませんが。。。)
その結果、Gの値が測定されました。現在では、
G = 6.67×10-11 m3kg-1s-2
となっています。
g = 4πGρR/3
かくして、R、g、Gが求められ、地球の密度ρを求めることができ、結果的に、
M = 4ρπR3/3
の式で地球の質量が求められたわけです。
ちなみに、上で使った数値を代入して計算すると、有効数字2桁で、
ρ = 5.5×103 (kg/m3)
M = 6.0×1024 (kg)
となります。
比重5.5(密度が水の5.5倍)というのは、生コンのおよそ2倍です。地球って意外と重いな。コアのあたりに金属が集まっているということか。。。
全体を見ることすらできない地球の重さを測れるなんて、人間ってすごいですね。