なぜイスラエルにハイテク企業が多く生まれるのか?危機が技術開発を促進した

特殊カメラ、特殊センサー、ICT、サイバーセキュリティ、3Dスキャナ、ドローン、ロボット。。。建設業の生産性にも使われるようになった、ハイテクデバイスの多くがイスラエルの企業で開発されている。

イスラエル発のハイテクデバイスたち

建設業は、基本的には、新しい技術のユーザーになります。

そこには、特殊なセンサーや光学機器、ドローン、ネットワークやサイバーセキュリティ技術など、さまざまなものが含まれますが、ときどき、営業の人から

「うちは代理店なので、メーカーに確認します」

と言われることがあります。そのメーカーの所在地を聞くと、イスラエルだということがあります。

そうなんです。ハイテク機器はけっこうイスラエルから来る印象があります。もちろん、アメリカのシリコンバレーとかも多いのですが、比較的小国のイスラエルからこれほどのハイテク技術が生まれるのはどういうこと?と思うことがあります。

50年前の第三次中東戦争がきっかけ

小国は頭脳で勝負するしかないんですね。

1967年に起きた第三次中東戦争、いわゆる「6日間戦争」では、イスラエルがそれまで武器調達を頼っていたフランスがアラブに味方し、イスラエルへの武器を禁輸することになりました。その結果、イスラエルは、他国への依存を減らす必要性に迫られます。そこで、国内に防衛分野や付随するテクノロジー分野への成長を促すことになりました。

危機的な状況においては、テクノロジーが進歩するのです

また、イスラエルは、人材開発の観点でもテクノロジーを発展させる施策をとっています。

イスラエルでは、高校卒業後、軍への入隊前に対象者をスクリーニングにかけます。そこで、優秀な人材と判断されれば、軍が費用を負担して大学での専門教育を受けさせます。大学卒業後、軍で実践的な経験を積ませ、3~5年後に除隊した時点では、高度な知識をもった即戦力の人材となっているわけです。

除隊した時点で起業する人も多く、こうした知識、経験に裏打ちされた高度な人材が、特殊なデバイス開発の基礎となっています。

福島第一原子力発電所の事故対策での技術開発

国家が危機的な状況におかれると、技術開発が一気に進むのは、日本でも同じです。

日本は平和で、アメリカが守ってくれているし、基本的には自国だけでなんとかしなくてはならない、という状況は、日常ほとんど意識することがありません。あの日までは。。。

福島の原子力発電所の原子炉が損傷し、建屋が水素爆発を起こして、対策が待ったなしの状況になったとき、様々な企業が対策を検討し、平常時なら起きないであろう技術開発が進みました。

「予算が足りないから、今年は設計、来年に製作」

なんてことは言っていられませんでした。

「金に糸目をつけないから、とにかくアイデアを出せ、すぐに作れ」

そんな感じでした。

研究開発予算なんて、ゼネコンでは、だいたい売上げ高の1%程度じゃないですか?(細かい数字は後日、調べて更新します)

しかも、大半は人件費、つまり研究所の所員や技術開発要員の給料になっていて、プロダクトを開発するための予算は限られています。ついつい、こじんまりとした開発になりがちです。

開発して、ちょっと試したら、「(仮に、これを最大限適用することができたら)すごい効果がある」というプレスリリースをして、その後、多くがいつの間にか消えているということが多いです。

そうした中で、生き残っていく技術が、未来の在来工法として定着するのです。

いま、建設業界は、えらく業績が良いようで、平均給与が大きく上昇したとの報道がありました。研究開発予算も潤沢になっています。国家的危機がなくても(福島はまだまだ先が長いですが)、研究開発予算がある今こそ、大局観をもって、大事に研究開発を進めたいものです。

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