とある海外工事の奇妙な朝礼。
日本人監督が話す。次にそれを英語話者が英語で、ベトナム語話者がベトナム語で、バングラデシュ語話者がバングラデシュ語で、…。
果たして伝わっているのか。多国籍な現場は、言葉で伝えるのは難しい。
ロスト・イン・トランスレーション
この海外工事の朝礼は、何か国語もの「翻訳」をしていました。
おそらく、日本語 → 英語 → その他の外国語 という翻訳だと思うのですが、日本の建設現場で行われているような、細かい安全確認とか現場状況の説明とかはあまりありませんでした。微妙な表現とかは、英語やほかの外国語に翻訳するのは難しいのでしょう。
作業においても、日本人監督(工事長クラス)が計画した工程を、マレーシア人監督(係員クラス)が解釈して、労働者(ベトナム人、バングラデシュ人、インド人たち)に伝えるという流れでして、日本人監督の計画の意図が末端まで伝わっていない様子でした。
とにかく、日本人監督の立場からみると、「いちいち手取り足取り、説明しないと、理解してもらえない」という不満があるようでしたし、作業員からみると、「そんな変わった工法知らないし、細かく指示してもらわなきゃ、なにをしていいのか分からんよ」という感じでした。
工法やら工程やらに新しい工夫をして、効率を上げようとするのは、日本のゼネコンのいいところでもあり、場合によっては、逆に理解されにくいことでもあります。
標準工事マニュアルとピクトグラム指示
外国で日本流の工業化工法をゴリゴリに推し進めるのは、必ずしもいい結果を招くわけではありません。
「郷に入っては郷に従え」というように、その土地の建築工法になじむもので作るのがいいでしょう。
世界には、この工法がまあ普通だよねというものがあって、それなら、「おれ、その工事ならやったことある」って作業員も集めやすいでしょう。
なので、外国で工事をするときは、外国標準をベースに考えるのがいいでしょう。
で、それを前提にして、ここからが提案なんですが、
作業指示をピクトグラムで行う
というのはどうでしょう。
標準工事の要素作業、使う工具や機械、作業場所などを分析しておき、あらかじめピクトグラムにしておきます。
そして、監督は、いつ、どこで、なにをするのかを、ピクトグラムの組み合わせで伝えるのです。
海外旅行にいくときに便利な『旅の指さし会話帳』シリーズみたいなものです。
最近は、東京のタクシーでも、指さし会話シートみたいなものを備えていて、外国人とのコミュニケーションに使っているところもあります。
東京オリンピックでピクトグラムを導入した日本人ですから、建設工事ピクトグラムを作って、ISOにして、世界標準にしようではありませんか。
いまは現場監督はスマホを使っていますから、なにも、ピクトグラム・シートを持ち歩く必要はありません。スマホやタブレットの画面で、ピクトグラムを選べば、その意味を自分と相手の言葉でも表示したりして、なんかいい感じでコミュニケーションが取れませんかね?
できれば、相手の言葉をすこしでも勉強して、声をかけることは大事だと思いますよ。
作業分析、デザイン、アプリ作成
ということで、ピクトグラム作業指示アプリを作りたいと思います。(妄想ですが)
そのためには、
- 国際的に通用する標準的な作業の分析
- 国際的に通用するピクトグラムのデザイン
- スマホアプリのプログラム
が必要です。
これができれば、建設業界のリーナス・トーバルズ(注)として歴史に名を残せます。
(注)Linuxの開発者です。Linuxを無料で公開してくれて、世界中が感謝しています。
退職したら、やってみようかな。
退職後の暇をもてあます予定の人がいましたら、いっしょにやりましょう。(妄想ですが)