ENR誌が毎年発表する、世界のトップ250社は眺めるだけで面白い。
ENRって?
ENR(イー・エヌ・アール)って読んだこと、ありますか?
「Engineering News Record」という、アメリカで発行されている、建設業界の雑誌です。ごく薄い雑誌で、隔週で発行されています。写真だけ眺めるだけでも、外国(主にアメリカだけど)の建設業の雰囲気が分かります。
そのENRが、夏になると、「THE TOP 250 INTERNATIONAL CONTRACTORS」という特集記事を掲載します。ランキングに現れる企業の名前を見るだけでも面白いので、機会がある人は見てみるといいでしょう。
ここでは、「ENR August 21/28, 2017(2017年8月21,28日号)」を眺めてみます。
日本企業のランキング
では、さっそくランキングを見ていきます。
ところで、この号には2つのランキングが掲載されています。
- THE TOP 250 INTERNATIONAL CONTRACTORS
- THE TOP 250 GLOBAL CONTRACTORS
どっちも「国際的なコントラクター」じゃないか?
まあ、そうですが、Internationalのほうは国外売上高によるランキング、Globalのほうは総売上高によるランキングです。売上高はアメリカドルに換算して比較しますから、為替の影響をいくらか受けるのはいたしかたありません。円建てでは昨年と同じだけ売り上げていても、円安になれば、相対的にランキングは下がります。逆もまたしかり。複数年で比較するときは、その点も考慮しましょう。
今日のところは、Globalのリストを見ていきますね。それは、日本の企業が頑張っている様子が見えるからです。Internationalのリストは別の機会に紹介します。
では、質問です。
- 上位5社は同じ国の企業です。どこの国でしょうか?
- 日本企業で、一番上位に現れるのは、どの会社でしょうか?
質問1の答えは、ご想像のとおり、中国です。上から順に、「中国建築」「中国中鉄」「中国鉄建」「中国交建」「中国電力建設」です。私はよく知りません。名前から想像してください。総売上高は、上位2社は10兆円越えです。
上位10位までの企業のうち、7社が中国企業です。残りの3社は、フランスのVinci(6位)、スペインのACS(7位)、フランスのBouygues(10位)です。有名なBechtelは12位、Hochtiefは13位です。
さて、ニッポンはどこ?
ランキングを読み進めていくと、16位に大林組が現れます。その後、鹿島(19位)、清水建設(22位)、大成建設(24位)、竹中工務店(30位)と、予想以上に健闘しています。ここ1、2年、建設業界はえらく景気がいいようで、バブル時代を彷彿とさせるランキングです。バブルのころは中国企業は上位にいなかったので、それを除くと、ベクテルやらフルアやらヴァンシやらホッホティーフやらと肩を並べる世界有数の企業たちと見ることもできます。
ゼネコンってやっぱりボリュームが大きい
今日のところは、総売上高での比較ですから、国内売上高の大きな日本のゼネコンが、予想以上に上位にランキングされました。
上位に現れた大手ゼネコン5社ですが、売上げの大半は日本国内の仕事によるものです。大林組はアメリカのゼネコンを買収したりもしているため、その売上げが乗っているのだと思いますが、それでも日本国内の売上げが7割以上です。
そのため、国外売上高で見ると、日本企業の順位は少し変わってきます。日本だけでなく、上位にいる中国企業のランキングも変わってきます。
次回は、それについてコメントしましょう。