日本じゅうの建築学の研究者、学生、技術者らが一同に会する、最大級の学術イベント。
期間中は開催都市のホテルと居酒屋が不足する。
夏の一大学術イベント
毎年8月に日本建築学会の年次大会が開催されます。
日本中の大学や企業の研究者、学生、技術者らが、集まり、専門分野ごとに議論を交わします。
おそらく、ほかの学会に比べると、かなり大規模なんじゃないかと思います。
なんせ、およそ10,000人の参加登録があります。
並行して行われる会議は約70。大きなキャンパスをもつ大学でなければ、開催できません。
そして、それが3~4日間続きます。
開催都市は毎年変わりますが、建築学会の支部がある地方を9年かけて巡回します。関東支部だけは、この1サイクルに2回開催されます。
過去12年間の開催地方を列挙すると、つぎのようになります。
- 2005 近畿支部
- 2006 関東支部
- 2007 九州支部
- 2008 中国支部
- 2009 東北支部
- 2010 北陸支部
- 2011 関東支部
- 2012 東海支部
- 2013 北海道支部
- 2014 近畿支部
- 2015 関東支部
- 2016 九州支部
- 2017 中国支部(間もなく開催)
来年は東北地方、再来年は北陸地方だと予想できますね。
「あれ?四国支部ではやらないの?」
四国は支部の規模が小さいので、開催するのが難しいのでしょう。
いや、四国の夏は、たぶん、
- 阿波踊りの練習で学会の準備どころでない
- 阿波踊りの真っ最中で盛り上がっている
- 阿波踊りで精根尽き果てている
いずれかの理由で開催が不可能なのでしょう。
実は同窓会
表向き(というか本来の目的は)学術会議なのですが、実は同窓会の意味合いも強いのです。
これだけ大勢の研究者が全国から集まるのですから、年に一回、知人の安否を確認する場にもなっています。
年配の人たちは、病気自慢に花を咲かせます。
いまでこそ、知ろうと思えば、Facebookやらブログやらで、互いの活動状況を簡単に知ることができますが、かつては、堂々と職場を離れて古い友人に会う少ない機会だったのです。
なので、大会が開催されている期間、夜の街は建築学会員であふれかえります。小さな都市では、二次会難民が路上を埋め尽くします。
実は観光旅行
表向き(というか本来の目的は)同窓会なのですが、実は観光旅行の意味合いも強いという人がいます。
開催地は9年かけて地方を巡回するのですが、統計上、関東大会の年は論文の投稿数が少なくなるというのです。
本当?!
たしかに、研究者も人口分布に比例して、東京に偏在しています。
論文投稿が少ないというのは、関東在住の研究者が関東大会に参加したがらないということが推定できます。
「地方なら参加するけど、通勤圏だとわざわざ参加したくないなぁ」
という声が聞こえてきそうです。
それって、旅行したいだけじゃん!
でも、1年に1回、友人に会って、酒を酌み交わし、その地方の自然や建物を見て回る。
それでいいじゃない。
でも意外とマジメ
でも、ほんとうに、研究者や技術者が、観光目的で大会に参加するのでしょうか。
はい、調べました。
近年の登録参加者数は、つぎのとおり。
- 2012 東海支部 9,900人
- 2013 北海道支部 不明
- 2014 近畿支部 10,100人
- 2015 関東支部 10,100人
- 2016 九州支部 10,400人
2015年、減ってないじゃないの。意外とマジメでしたね。
今年の大会は、8月31日(木)~9月3日(日)の4日間、広島工業大学で開催されます。一般の方も発表を見ることができますから、会員でない方も興味があれば参加してみるといいでしょう。