理論だけではなく、具体的に実現した技術開発について知るなら技術報告集を参考に。
日本建築学会 技術報告集
日本建築学会の技術報告集の募集ページには、いきなり、太字でこう書かれています。
技術報告集に掲載する内容は、具体的な建築物、プロジェクトなどを対象とした技術報告です。
そうです。具体的に開発され、適用された技術の報告が中心になります。
発行は4か月に1回ですが、報告の数が多いし、技術に特化しているので、技術屋さんにとっては、論文集(いわゆる黄表紙)よりも、面白い報告を見つけやすいかもしれません。
論文集については、こちらでも書きましたが、論文集にしても、技術報告集にしても、査読という審査のプロセスがあります。そのため、掲載される報告は、それなりにきちんとした体裁になっています。
もっとも、技術報告集は、具体的な適用事例の報告を重視していて、理論の完成度とか革新性とかよりも、「こんなことを試してみて、なるほどうまくいったんだな。課題もあるんだな。」という知見を共有するものですから、審査の基準が異なります。
投稿の心理的抵抗も小さい
個人的な感想ですが、隙のない理論を構築してから投稿すべき論文集よりは、やったことをまとめて投稿する技術報告集のほうが、心理的な抵抗が小さいと思います。
やったことに間違いはなく、ほかにやった人やグループがなく、やった結果うまくいってもいかなくても役に立つなら、投稿してみようという気になりやすいです。
審査があると言っても、論理展開に無理があるとか、データ数が少なくて結論に信頼性がないとか、そんな理由で却下されることは少ないんじゃないでしょうか。通らなかった報告がどんなものか知りませんので、正確なことは言えませんが、審査する方が文句をつけるとしたら、
「もっと教えてよ」
ということくらいじゃないでしょうか。
あと、日本語はきちんと書きましょうね。日本語がおかしい人、意外と多いですからね。話し言葉では、話している最中に文の構造が変わるとか、間違った単語を使っても、消えてなくなりますから、さほど気になりませんが、報告集の中に残るものだと、おかしな日本語は指摘されるかもしれません。
私も、技術報告集くらいなら投稿してみようかな。