日本建築学会論文集 理論研究発表の最高峰

大学は教育と研究の拠点である。その成果はさまざまな論文集や学会講演会で発表される。
建築系の研究において最も権威があるのが、建築学会論文集である。研究者ならこの論文集への掲載を目指そう。

日本建築学会論文集

建築分野で研究活動をする人の多くが所属するのが日本建築学会です。英語で略すときは、AIJと言いますが、この世界の人と話すときは「学会」で通じます。

東京の三田に拠点があります。さまざまな委員会が設置されていて、毎日なにかしらの会議が行われています。また、ホールもありますので、大きなシンポジウムも頻繁に開催されています。

この日本建築学会が発行する論文集が日本建築学会論文集で、3つの分野に分かれています。

  • 構造系論文集
  • 計画系論文集
  • 環境系論文集

詳しくは建築学会のウェブサイトで確認してもらうとして、おおざっぱに分けると、構造系は材料と構造、計画系は建築計画、歴史、意匠、建築社会システム(以前の、建築経済)、環境系は環境工学とその他、といったところでしょう。「その他」ってところが、まさに、おおざっぱですが、情報システムとか教育とか災害とかが含まれます。

建築生産とか施工分野で新しい知見を得たらどこに投稿するの?

さて、このブログで扱う建築生産や施工に関連する研究はどの分野で発表されるのでしょうか。難しいですね。

結局は、論文投稿者がどこに投稿するか、ということなんです。

材料工学や新しい構造形式のように明確に材料・構造に関するものなら、構造系論文集に投稿されるでしょう。ところが、新しい施工管理手法とか施工計画のモデル化に関する研究となると、建築社会システムの一要素であることから、計画系論文集が選ばれることが多いです。純粋に情報システムの理論構築とかなら、環境系でもいいのかもしれません。

でも、ぶっちゃけ、どの大学教授が担当しているか、どの分野の大学教授に審査してもらうかというのが、判断材料になります

アカデミーの世界は狭いです。

とても狭いです。

もしあなたが学会で委員会活動なんかをやっているなら、あなたの投稿する論文は、ほぼ間違いなく、あなたの知っている誰かが審査をします。

匿名ですけどね。

「君の論文、いま審査してるんだよ」

とは絶対言いません。

「いま、論文審査をしているんだよ」

とすら言いません。これ審査のルールです。

匿名ではありますが、審査の過程で、質問や修正の指摘があることも多いので、勝手知ったる先生に審査をしてもらうほうが、門外漢の先生に審査されるより、有意義な議論が展開できると思います。そういう意味で、どの分野の大学教授に審査をしてもらいたいかを判断材料にすればいいと思います。

論文を入手して読んでみよう

審査をパスし、日本建築学会論文集に掲載された論文は、学会のウェブサイト、J-StageやCiNii(サイニー)という論文検索サイトで検索して読むことができます。所属や所属機関の状況によって、無料でアクセスできる範囲が異なりますので、ご注意を。

日本建築学会の会員になるのは難しくありません。特に人物審査とか、能力試験とかはありません。

過去に研究不正を働いたとか、よほどおかしな経歴の場合は知りませんが、普通の研究者や学生が問題にされることはありません。建築学会の会員からの紹介が必要なので、学生なら先生とか先輩、企業研究者なら研究所の知人などに紹介してもらいましょう。

晴れて日本建築学会の会員になったら、あなたは日本の建築界の進歩に寄与すべく、新たな一歩を踏み出したことになります。

さあ、あなたの新たな知見を歴史に刻みましょう

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