建築生産シンポジウム 建築生産を研究する老若男女の集まり

建築学会のなかには正面から建築生産に取り組む人たちがいる。

建築生産シンポジウム

建築生産について、研究発表や議論をする場です。毎年7月ごろに開催されます。今年はすでに開催済みです。(投稿が遅くてごめんなさい)

開催地は東京か京都です。西暦年が4の倍数の年に京都で開催されます。東京でやるときは、港区にある建築学会の本部にあるホールを使います。

このシンポジウム、むかしは「建築生産と管理技術シンポジウム」と称していましたので、古い論文を探すときはこの名前でも検索しましょう。

口語では、略して「生産管理シンポ」、さらに略して「生産シンポ」と呼んでました。元の名前が変わったので、「生産シンポ」は今でも通じます。

「今年の生産シンポに(論文を)出した?」

で通じます。

主催者は建築生産小委員会

このシンポジウムの主催者は、日本建築学会の委員会のひとつ、建築社会システム委員会 建築生産小委員会です。

小委員会のウェブサイトは、こちらからどうぞ。

ウェブサイトによると、小委員会の目的は、

本小委員会は、建築生産に関する技術や技能、また制度上の諸問題を広く研究・議論することを目的として設置する。建築生産分野ではBIMをはじめとする新技術の展開や、施工技術開発の一方で、国際的な環境変化、震災復興対応、東京オリンピックへ向けた動き、深刻化する技能者不足や環境問題など課題が山積している。本小委員会ではこれら、建築生産技術、産業構造などの課題に関する現状と今後について研究を行う。また、研究成果の発表の場としてシンポジウム、セミナーなどを企画、運営する。

とのことです。親委員会が「建築社会システム」というモヤモヤした名前の通り、境界線の見えない幅広い議論がなされます。

施工計画のような技術論、積算などの生産関連業務の調査報告、建築プロジェクトの組織論、海外との比較生産論、歴史などなど、なんでもござれです。

小委員会の委員は、大学の建築生産研究者たちと、ゼネコンを中心とした企業の技術者たちが占めています。

イッツ・ア・スモール・ワールド

建築生産の研究コミュニティって、けっこう小さいです。このシンポジウムに定期的に参加している先生方、ゼネコンの研究者の名前を押さえておけば、日本の建築生産のキーパーソンの9割をカバーします!

いや、8割くらいかな。

。。。まあ、7割はいくでしょう。

とにかく、モヤモヤした境界線の見えない幅広いテーマを、これらの限られた人材でやるものですから、そのスジの専門家はその発表者だけということもあります。

最近は、委員や関係者らの研究室から、学生や院生の人たちが発表するという場になっている印象は否めません。(昔は、ゼネコンの技術者や研究者が、バリバリの先端技術開発をこれ見よがしに発表していたものです。あぁ、懐かしや。)

さて、学生の発表とは言っても、そのスジの専門家は発表者だけということが多いので、司会者が「会場から質問はありませんか?」と問いかけても、

「なにを訊けばいいんだ?」

という雰囲気が漂います。(学生の指導教授はもちろん専門家なんですが、自分が指導している学生に質問はできませんね。)

そんなときは、大御所の先生方がやさしく、ほどよい質問をしてくれます

そのような優しいコミュニティですので、建築生産に興味のある技術者、学生の方は、一度参加してみるといいかもしれません。もっとも、シンポジウムは内輪の会議の雰囲気もありますので、人見知りのひとは、まずシンポジウムの論文集を買って眺めてみるといいでしょう。論文集は、建築学会附属の建築書店にて、わずか3,000円で売っています。バックナンバーも、残っていれば、購入できると思いますが、古いものは論文データベースでも検索できるでしょう。

しかし、このように優しい人たちの小さな家族的コミュニティですから、一度も参加したことのない外資系建設コンサルタントが、バリバリの問題提起論文をいきなり投稿したりすると、小委員会はてんやわんやの大騒ぎになることでしょう。

「なんだなんだ、道場破りか?」

「黒船来航がやってきたぞぉ」

「てつはう?」(笑)

もっとも、私は、そんな新しい風が吹き込むことを密かに期待しているんですけどね。論文は、体裁さえ整っていれば掲載されますから、ぜひ旋風を巻き起こしてください。