「山っ!」
「川っ!」
「よし入れ!」
「いまだ!攻め込めぇぇぇぇ!」
「しまったぁ!合言葉が漏れてたぁぁぁぁ!」
あまねく知られている合言葉は、合言葉の意味をなさない。
しかし、建設業界には、まだ知られていない合言葉がある。
たんかん(単管)
足場に使ったり、手すりに使ったり、ちょっとした固定に使ったりと、なんにでも使える便利な仮設材。直径48.6ミリの鉄のパイプのことです。
マスコミでは「鉄パイプ」と表現されます。しかし、施工関係者は間違いなく「たんかん」と呼びます。もし現場で「鉄パイプ」と呼んでいる人がいたら、発注者か発注者側の代理人かもしれないので、気を抜かないように注意しましょう。
2016年、足場の解体中に歩道に落下した「鉄パイプ」が、跳ねて歩行者の頭に刺さる死亡事故が起きたと報道されました。ニュースを聞いたとき、太い単管が頭蓋に刺さるというのは違和感がありました。調べてみると、このときの「鉄パイプ」は枠組足場のブレースでした。ブレースは細くて、端部を平坦に加工してあるので、残念ながら、致命的な事故に至ったのかと思います。
土台を理解するのは、どだい無理な話?
「土台」も、建築業界の中の人間か、外の人間かを区別するための合言葉のひとつです。
「土台」。。。わかりますか?
マスコミでは、津波で流された家屋の跡の前で、アナウンサーが
「すべて流されてしまい、土台しか残っていません」
と、まず間違いなく表現しています。
でも、家の下にあるコンクリート部材は「基礎」なんです。「土台」ではありません。「土台」とは、基礎の上に置いてある(基礎に緊結してある)木材なんです。
そこで、「基礎」を指さして、「これなんだ?」と問いかけ、
「土台だろ」
と答えたら、その人は建築を学んでいない人です。
建築工法を学んだ人だけが、「基礎」と答えます。
建設業界の合言葉
これらの合言葉は、まだ世の中に浸透していません。
なので、しばらくは秘密にしておきましょう。
いざ、中の人なのか、外の人なのかを区別する必要がでてきたとき、おもむろに使いましょう。
「おまえは誰だ?まず、たんかんを持って来い」
「え?タ・ン・カ・ン?」
「おまえ!うちの協力業者ではないな!」
建設現場の入り口で交わされると思うと、ほほえましいですね。
でも、きちんと現場入退場のセキュリティを保とうと思えば、個人識別技術を使いましょう。