日建連の自主規制で現場監督の時間外労働は減るか
日建連の自主規制
時間外労働についての規制を定める改正労働基準法は2019年4月に施行されますが、建設業界には5年間の猶予期間があって、適用は2024年からとなります。
しかし、それまでの間にも、日建連(日本建設業連合会)は自主的な規制を作って、徐々に時間外労働を少なくしていく取り組みが始まっています。
まずは、改正労働基準法が施行される2019年4月から3年間は、年間の時間外労働の上限を960時間、2022年4月から2年間は840時間、そして、建設業に改正労働基準法が適用される2024年度からは720時間となります。
年間960時間、つまり平均すると月80時間です。
ほかにも、連続する数か月の平均とか、1か月あたりの上限などの規定もありますから、今の働き方では、思った以上に難しい基準です。
どうやって守るか
月80時間というのは、完全週休二日だとして、月22日勤務すると、一日あたり3時間40分程度です。
実際には、月に2日程度は休日出勤している人は多いでしょうし、土曜日は全く休めないという現場もあるでしょう。
休日出勤は、それだけで1日あたり10時間以上の勤務になるでしょうから、月80時間のうち20時間くらいを消費してしまいます。
忙しいから休日出勤するのに、残りの60時間を平日の22日で割ると、1日あたり2時間40分程度になります。早出、残業あわせて2時間40分で済ませることはできるでしょうか。
「いやぁ、達成は無理でしょ」という声が聞こえてきそうです。
単に、「早く帰れ」では対応できません。いまから対策をしなくてはなりません。
やらなきゃいけない分量(生産量)は決まっています。
これは、おおざっぱに言うと、
一日の労働時間(時間/日)×工期(日)×生産性(生産量/時間)
で説明できます。
この式の値が決まっていて、一日の労働時間を減らさなければならないなら、選択肢は2つ。
工期を延ばすか、生産性を上げる。
工期については、作業員や現場監督がきちんと休めるような適正な工期を発注者に説明して、これを認めてもらおうという動きは始まっています。
また、技術開発やさまざまな工夫で、生産性を向上させる努力はこれまでも行われています。今後もいっそうの生産性向上技術が開発されていくことでしょう。
これまでは、生産性の向上は、工期短縮に食われてしまって、一日当たりの労働時間の減少には寄与しませんでした。
社会的な要請で、そして、建設業自体が優秀な人材を確保するためにも、労働時間の適正化を進めようと思えば、生産性の向上の果実は労働時間削減に使いたいものです。
残業代目的の残業よさらば
若手現場監督のなかには、残業代を期待して、ダラダラ残業をしている人もいるかもしれません。
5時までは、現場の追いまわしで手一杯で、5時からようやく事務所で仕事ができるので、場合によってはビール片手に資料をまとめている人もいるでしょうか。(昔は、まあ、そのくらいは許されていましたね)
これから建設業に入職するひとは、残業はそこそこに、自分を高める活動に時間を使いましょうね。まだまだ長い人生、ぜったい、その方がいいですよ。