これを知らなければ業界人ではない。
しかし、この単語を日常生活で活用する場面は、ただ一つ。
スクラブルで「Q」が残ったとき、この単語で一発逆転を狙う。
QCDSE
建設プロジェクトは、QCDSEの観点で評価されます。評価というより、気をつける項目といったところでしょうか。読み方は、なんのひねりもなく、「キューシーディーエスイー」。
それぞれの意味するところは、
- Q: Quality。品質。
- C: Cost。コスト、つまり費用です。
- D: Delivery。「納品」とか「引き渡し」を表す英語ですが、建設業では工期という言葉を使います。
- S: Safety。言わずと知れた安全です。
- E: Environment。環境。つまり、環境への配慮とか、環境意識高い度合い。
産業について勉強していると、QCDじゃないの?と思う人もいると思います。たしかに、他産業では QCD が一般的なんじゃないでしょうか。
建設業は、全産業のなかでも災害が多いことから、気を引き締めるために、S(安全)が加わっていますね。
20年くらい前には、QCDSに加えて、E(環境)が加えられました。当時の新参者 E は少し疎外感がありました。そのころは、QCDS+E という表記がされていました。しかし、いつのまにやら E は、当然のように、あたかも昔からそこに鎮座していたかのように、グループのメンバーになっています。ドリフで例えれば、志村けんです。
ペンタレンマ
で、この並びですが、別に重要度を表しているわけではありません。安全や環境をコストよりも軽んじているわけではありません。
そんなはず、あるわけないですよ。。。
、、、そんなはず、、、ないよ、ね?
ぶっちゃけると、あいまいな基準になりがちな Q や S や E よりは、明確に数値に現れる C と D は管理項目になりやすいです。
C の裏返しである利益を目標とされることは多いですが、チマチマと利益を稼ごうとして安全対策を軽視し労働災害なんかを起こしてしまうと、現場監督も逮捕されて人生を棒に振ることだってあります。
ただ、数字に表れない項目は、どこまでやるのが妥当なのか、という判断は難しいですね。
そんなふうに、QCDSE は、それぞれを向上させようとすると、ジレンマに陥ることがあります。
いや、ジレンマは2つの事柄が同時に成り立たないことを言うので、5つの事柄が同時に成り立たないことを言うなら、私はペンタレンマと名付けたいと思います。いま、思いつきました。
みなさん、「建設業はペンタレンマなんです」って広めましょう。
すみません、横道に逸れました。
ペンタレンマでも(これ、ちょっと、気に入っちゃいました)、あちらを立てればこちらが立たずという状態が発生します。
そりゃ、いい品質を作ろう(Good!)と思えば、コストが高くなる(No good)し、時間もかかる(No good)。工期に間に合わせよう(Good!)として、無理に急げば、品質が確保されなくなって(No good)、ケガもしやすくなる(No good)。
むかしむかし、アメリカという国にフォードという自動車メーカーがありました。フォードは自社製の「ピント」という自動車に重大な欠陥があることを知っていましたが、「リコールするよりも、死んだ人に賠償金を支払うほうが安くすむ」と言って、リコールをしませんでした。そして本当に死亡事故が起きたとき、欠陥を隠していたフォードは大変な額のお金を支払い、みんなから相手にされなくなりましたとさ。はい、おしまい。
建設業で、似たようなことが起きないことを願います。
建築生産の試験に出たらどう書けばいいの?
つまるところ、バランスの問題です。
優等生の解答を教えます。
「死亡事故や重篤な災害を起こさないことは大前提として、周辺環境への影響ができるだけ小さくなるように配慮をしながら、品質と工期を守るために、もっとも経済的な方法を見つけることが、プロジェクト管理者に求められる。」
はい、100点。