建築士試験の試験勉強をどうするか

会社によっては施工管理のひとも建築士をとることを要求されます。

建築士試験は難しい(?)

建築士試験、それなりの企業にいると上司や先輩からこう言われます。

「足の裏についた米粒みたいなもの」

取らなきゃ気持ち悪いし、取っても食えない。。。

上司からずっとネチネチ言われるので、私はさっさと取りました。上のように言っていた先輩のほうが、ずっと取得できずにいましたね。やはり難しいことに変わりはありません。

建築士試験の合格率はざっと、

合格率過去5年(左から平成29~令和3年)の合格率
一級建築士 総合約1割10.8%、12.5%、12.0%、10.6%、9.9%
      学科のみ2割弱18.4%、18.3%、22.8%、20.7%、15.2%
      製図のみ4割弱37.7%、41.4%、35.2%、34.4%、35.9%
二級建築士 総合2割以上24.3%、25.5%、22.2%、26.4%、23.6%
      学科のみ約4割36.6%、37.7%、42.0%、41.4%、41.9%
      製図のみ約半数53.2%、54.9%、46.3%、53.1%、48.6%

学科合格率と製図合格率の掛け算をしても、総合合格率にならないのは、前年までに学科だけ合格して、その年は製図だけ受けた人がいることなどが原因です。

ちなみに、製図の受験者数は、その年の学科合格者の1.5倍くらいとなっています。

資格学校ってどうなの?

社会人になって仕事を始めると、学生のころがいかに暇だったのか気づくことになります。

建築士試験の受験資格に実務経験が不要になったため、さっそく上司から

「建築士試験、申し込むよね?」

と言われて、「やっぱり来たか!」と思った新入社員も多いと思います。勉強する時間をひねり出すのは大変! とはいえ、慌てて資格学校に申し込むのはちょっと待ったほうがいいでしょう。

資格学校、とにかく高いです。数十万円、コースによっては100万円を越えます。若手社員には結構キツい額です。

資格学校の営業マンはとにかく恐怖心を煽ります。

「独学では絶対無理です。独学で始めると言って断った人も結局うちに来るんですよ ┐(´∀`)┌ 」

学生には、「学生向け特別コース」(数万円のコース)で、ひとまず契約させ、就職先を聞き出します。数万円のコースで自習用の教材を提供し、社会人になってから長く(!)つきあっていくことになります。

「S資格」(特定できないよう伏字にさせていただきます)などは、校内で直接、学生をつかまえて、過去問集を差し出し、連絡先を記入させるなどして個人情報を集めます。営業ノルマがきついのか(じっさい営業マンに対するパワハラなどが報道されました)、同じ学校にS資格の複数の事業所や営業マンが入り込んで、学生獲得競争をしているところもあります。

あまりに学生への営業がエグいので、学校によっては出入り禁止にしているところもあります。

S資格も対抗策として、学生の口コミでアルバイトを募集し、キャンパスの外に呼び出した学生に「就職活動に関するインタビュー」などをして、個人情報を集めたり、内定先を聞き出したりしています。

分かったうえで応じるならいいんですけど、学生の諸君はご注意を。

学科はひとまず参考書を読むこと

では、建築士試験は資格学校にいかなければ合格できないのでしょうか。

私の個人的なオススメは、「あわてて申し込む前に、学科の参考書・過去問を読め」です。

学科試験の合格率は、一級で2割、二級で4割です。

じつは、受からない人は何度も受験しても合格しないのです。それに、上司や会社に言われ、仕方なく受験申し込みだけして勉強せずに受験日を迎える受験生も多くいるのです。ですから、実質的に初めて受験する受験者で考えれば、合格率はずっと高くなるはずです。

二級で合格率5~6割だと思えるなら、まずは自分で勉強しようと思いませんか?

それに建築士の試験というはのは、決められた範囲からしか出題されません。過去5~10年分の過去問を見れば、あなたが受験する問題はこの中から出ます。もちろん、数値とか言いまわしの違いはありますが、過去5年の問題が完璧に解けるようにしてしまえば、まず合格できるでしょう。

過去問が欲しい方、資格学校に個人情報と交換してもらう必要はありません。

公益財団法人 建築技術教育普及センターのホームページで公開されています。この組織、建築士試験を管轄する組織そのものですから、まったく問題ありません。過去問をダウンロードして、実力チェックをしてみるといいでしょう。

製図については資格学校のノウハウもある

さて、こうやって私も学科は独学で勉強しました。そして一発で合格しました。(ちょっと自慢)

ところが、製図については独学では少し難しさを感じました

つまり、学科のように正答がはっきりしない。致命的な間違いを指摘してくれる人がいない。ということです。

想定問題集などは、事前に出版されますが、やはり独学用の問題集は設問が甘く、解答例が一つしか提示されていなくて、自分の図面がどの程度なのか分からないのです。

練習を繰り返すと時間配分はできるようになるかもしれませんが、質の面で点数が上がっている感じがしないのです。

というわけで、1回目の製図は不合格でした。

2年目は、S資格でもN学院でもない、安いところに申し込んで練習時間を確保しました。

まあ、安いだけあって、教育がしっかりしているわけではありませんでした。講義はなく、会場で配布された問題を見て図面を描く。終わったら講師に見てもらい意見をもらう、というだけでした。基本的には、製図に取り組む時間を作るという意味で、会社帰りに通ったわけです。

ここでの試験問題は、市販の問題集よりもずっと練られていて、実際の試験に近いものでした。なので、それなりに練習にはなったと思います。

後から分かったのですが、この学校が提供していた練習問題は、大手の資格学校の設問そのものでした。自力で設問を作るほどのスタッフやノウハウがなかったのでしょう。わたしは知らないうちに大手資格学校のノウハウのつまった予想問題で練習をすることができたわけです。(合法的に入手していたのかどうかは知りませんが…)

やはり大手の資格学校は製図試験の問題を予想するのは得意そうです。「事前に本試験の問題を入手することはできないが、過去の本試験の出題者を交えて問題を予想している」と営業マンは言っていました。(本当かな?)

ということで、製図も独力で頑張ってみるという選択肢はあるかもしれませんが、学科に受かってから、製図はプロの講義を受けるというのが経済的にいいんじゃないかと思います。

個人的な経験からの意見なので、それぞれの勉強の習慣によって考えてください。自分で勉強しない人は、100万円を払って自分を追い込むのもひとつの手ですね。あと、友達に「学科に受からなかったら、おまえらを一人2万円のフレンチに連れて行ってやる!」と宣言することですね。

なんなら、私に宣言してもらってもいいですよ。受からなかったら、2万円ほどお振り込みいただければ、幸いです。