その世界にどっぷりと浸かっていると、思わぬ質問が飛んでくることがある。
床スラブって床床って意味ですか?
以前、建設現場で施工図を描いていたとき、若い女性CADオペレータが配属されてやってきました。
建築のことは知らないようで、コンクリート寸法図を描く手順を、ひとつひとつ説明しているときに、質問をされました。
「スラブってどういう意味ですか?」
「スラブは床です」
「じゃあ、床スラブって床床って意味ですか?」
「いや、まあ、その。。。コンクリート床のことを床スラブと言います」
「ふぅん、まあいいや」
スラブ
いまなら、きちんと「スラブとは板という意味です」と言えるのですが、ふと考えてみると、コンクリートの戸境壁をあまり壁スラブとは言いませんね。やっぱり、スラブは床にしか使わないのかな。
何ででしょう?
知っているひと、教えてください。
床スラブは、現場打設の場合はスラブとして揚重されるわけではありませんが、プレキャストコンクリート、通称PC(ピーシー)の場合は、1枚の板として吊り上げられるので、「スラブ」感があります。
ただし、床スラブをPCにするときは通常、ハーフPCにします。20~30cmほどの厚さの下半分を工場で作っておき、梁の上に敷きならべたあと、上半分を現場で打設します。
床スラブのフルPCはできなくはないのですが、PCの床スラブどうしのジョイントを埋めるだけの工法では、コンクリートのたわみやクリープによって、将来肌分かれを生じるという問題が残ります。やはり、上端の鉄筋を連続して通して、引っ張りに抵抗しなくてはならないのです。肌分かれが生じると、たとえ、構造的には大丈夫でも、OAフロアだから見えないと言っても、やはり設計者、発注者にとっては、ひび=不具合としか映りません。
いっそ、最初からPCのジョイントに、キレイにデザインされた目地を切っておくといのはいかがでしょうか?
設計者の方々、ご検討願います。
これによって、床工法が完全にPC化され、現場打設のない、つまりは雨の影響を受けない、工程管理がしやすく、品質の安定した躯体ができるのではないでしょうか。
将来の自動化施工システムのために、ぜひお願いします。
あのCADオペレータはどうなった?
さて、現場のCAD室にやってきて、私にほほえましい質問を投げかけた、あの女性オペレータはどうなったと思いますか。
後に、その現場の新米現場監督と結婚しました。
大現場だと、ロマンス、結構あるんですよ。これから建設現場に配属される人たち、楽しみにしていてください。