まだ売れていないアーチストに目をつけて応援していたけど、人気が出てしまったら疎く感じられてしまう。
いま大人気のBIMにも、ひと言。
「おまえ、変わったな。。。」
BIMっていつから
日本ではBIM元年を2009年ごろに位置づけることが多いでしょう。私がBIMという言葉を初めて聞いたのは2003年でした。
「ビムだよ、ビム」
「ビム?何それ?」
「ビルディング・インフォメーション・モデルだよ」
私の疑問は、「お前の言うBuilding Information Modelと昔のBuilding Model(建物モデル)とは何が違うの?」
STEP
1980年代なかばに開発が始まり、1994年に最初のバージョンがリリースされたのが、ISO10303 “Industrial Automation Systems – Product Data Representation and Exchange”という規格、通称、STEP (the Standard for the Exchange of Product Model Data)です。
ISOとついているとおり、国際標準化機構が規格化を進めていたものです。
さまざまな産業に対応するように構想されていて、Application Protocol (AP)という産業分野ごとのモデル定義がなされています。
建設分野に関係するのは、AP225(建築要素)、AP228(建築設備)、AP230(建築フレーム、鉄骨工事)のあたりです。
STEPで定義されるモデル(スキーマ)は、EXPRESSという言語で記述されます。また、そのビジュアル表現であるEXPRESS-Gでモデル定義が図示されます。
で、内容は、「建築表現に必要なオブジェクトと、それらの関係の定義」と言えば分かるでしょうか。最近の情報処理を勉強している人なら、UMLのクラス表現に似ていると言ったほうが伝わりやすいでしょうか。
STEPではオブジェクトはエンティティと呼ばれますが、書いてあることはクラスと同じようなものです。属性名と変数の型とか、スーパークラスとか、サブクラスとかが記述されています。興味のある人は、ごく一部だけでも見てみるといいでしょう。
実は、この定義方法、みなさんがよく使うIFCのモデル定義でも同じような記述がなされているんです。オブジェクト指向コンピュータ言語を勉強すると、建築のオブジェクトが同じようなオブジェクト指向の考えのもとで作られていることが理解しやすいでしょう。
EXPRESS言語
EXPRESS言語は、オブジェクトを定義するための表記方法です。文字だけでなく、クラスを長方形で表し、クラス間関係を線で結ぶという表記方法が、EXPRESS-Gという言語(言語というより、パワーポイントで描く関係図みたいなもの)です。
オブジェクト指向で考えたものを表現するには、最近ならUMLとかなのかな?
一昔前なら、IDEF1Xだったり、もっと前なら、ER図だったりするんですが、表現することは、まあ同じようなものですね。
違うのは、属性の組み合わせで表現できるエンティティなのか、それに加えて、スーパークラス・サブクラスの関係やメソッドを実装した、いわゆるクラスなのかといった、実装方法によって違う部分です。
STEPでも、IFCでもいいから、モデル定義を覗いてみると興味が湧きますよ。
念のために言っておくと、Revitで保存したファイルを読むんじゃないですよ。保存したファイルは、具体的な建物の属性値を保存したものですからね。
Part21ファイル形式
STEPでは、いまでも使われている成果があります。Part21ファイルと呼ばれているものです。拡張子は「.p21」です。
これは、コンピュータのメモリに作成されたデータを、ファイルに保存するときに使われる形式です。メモリ上のデータは、EXPRESSで記述された定義に従って値が入っているので、そのデータをテキスト形式にするためのルールというわけです。
上でも書いたとおり、Revitで保存したPart21形式のファイルを開いても、面白くありませんよ。クラス名は見えても、属性の名前が分からず、値だけが並んでいるので、モデルの構造を見出すのは無理ですから。
オブジェクト指向は基礎教養
オブジェクト指向って何?ってことを語らずに、書いてきたので、「わかんね」で終わったかもしれません。
(わたしも、きちんと整理せずに、つらつらと書き進めてしまいました。すみません。)
でも、最近思うのは、オブジェクト指向の思考方法って、論理学と同じように、基礎教養のひとつだと思うんです。
三段論法で説明されたら、「ああ、そうだな」と理解できるように、ゴチャゴチャしたものをスッキリと捉える道具がオブジェクト指向だと思います。
学習用の書籍の紹介を含めて、詳しくは、またの機会に。